定款の事業目的の決め方|許可が取れずに変更登記をやり直した話【群馬・高崎】

「目的は多めに入れておけばいい、と聞いたので20個ほど書いてきました」

高崎市内で造園業をされている方が、定款の原案を持ってこられたときの話です。飲食店の経営、不動産の売買、コンサルティング業。やる予定のない事業がずらりと並んでいました。

一方で、その方が2年後に必要になった許可のための一文は、そこに入っていませんでした。剪定した枝を運ぶために産業廃棄物収集運搬業の許可を取ろうとして、事業目的に記載がないと言われた。変更登記からやり直しです。

事業目的は、多いか少ないかの話ではありません。どこで見られるかを知って書くかどうかの話です。

事業目的が読まれるのは3つの場面

定款を作るとき、事業目的はどうしても後回しになります。商号や資本金と違って、決めても実感がわかないからです。

ただ、この一覧はあとから3つの場面で読まれます。

1つ目は許認可の申請です。行政の窓口は、登記事項証明書に載っている目的にその事業が含まれているかを確認します。含まれていなければ受理されません。

2つ目は融資の審査です。事業目的と、申込書に書いた資金使途と、決算書の売上構成。この3つがそろっているかを見られます。造園業として借りるのに、目的に造園の記載がなければ話が止まります。

3つ目は銀行口座の開設です。近年、法人口座の審査は厳しくなっています。実態のない目的が大量に並んでいると、それだけで説明を求められることがあります。

つまり事業目的は、会社が何をする会社なのかを外部に宣言する文書です。書いた本人が忘れていても、読む側は読んでいます。

なお、目的そのものに求められる要件は3つです。適法であること、営利性があること、内容が明確であることです。かつては具体性も厳しく求められていましたが、いまはかなり緩やかになりました。「コンサルティング業」のような抽象的な文言でも登記は通ります。

登記が通ることと、許認可や融資で通用することは別だという点を押さえておいてください。法務局を通過したから安心、という話ではありません。

許認可がある事業は、書き方がほぼ決まっている

いちばん気をつけるべきはここです。許認可が必要な事業は、目的の文言が実質的に指定されているに近い。

建設業 「土木工事業」「とび・土工工事業」など、許可を取る業種名を明記する

産業廃棄物 「産業廃棄物収集運搬業」

古物商 「古物営業法に基づく古物商」

人材派遣 「労働者派遣事業」

運送業 「貨物自動車運送事業」「貨物軽自動車運送事業」

似た言葉で書いてあればいい、というものではありません。造園業の方の場合、目的には「造園工事業」と「植木の剪定、庭園の管理」がありました。枝を運ぶ行為はそのどちらにも読み込めない、というのが窓口の判断です。

許可の窓口が違えば判断も違います。ただ、迷ったときに「入っていないから通らない」となるのは同じです。書いておいて損をすることは、この種の文言に関してはほとんどありません。

建設業許可を取る予定があるなら、許可業種の名称をそのまま目的に入れておいてください。順番の判断は建設業許可と法人成り、どちらが先かに書きました。

「附帯関連する一切の事業」では足りない

目的の最後には、たいてい「前各号に附帯関連する一切の事業」という一文が入ります。これで何でもできると思われがちですが、そうではありません。

この一文が効くのは、本業に付随する細かい行為についてです。許認可の審査では、この包括条項をもって「記載あり」とは扱われません。個別の文言が必要になります。

造園業の方は、まさにこの誤解でつまずきました。枝の運搬は造園に附帯する行為だと考えていた。実務としてはその通りなのですが、許可の審査ではそう扱われませんでした。

結果として、目的変更の登記をしています。登録免許税が3万円、司法書士に頼めばその報酬も加わる。それ以上に痛かったのは、許可申請が2週間以上ずれたことでした。

手続きとしても軽くありません。目的の変更は定款の変更なので、株主総会の特別決議が要ります。議事録を作り、法務局に変更登記を申請し、完了を待って新しい登記事項証明書を取る。そこからようやく許可の窓口に行けます。ひとり会社でも、この形式は省けません。

多すぎると何の会社か分からなくなる

では入れるだけ入れればいいかというと、そうでもありません。

融資の面談で登記事項証明書を出したとき、目的に20個並んでいて、そのうち実際にやっているのが1つだけ。この状態は印象がよくありません。何をする会社なのかが読み取れないからです。

創業融資は、事業計画の一貫性で判断されます。目的、資金使途、売上計画。この3つが同じ方向を向いていることが前提です。関係のない事業が並んでいると、そこを説明する時間に面談が費やされる。創業融資はどこで借りるべきかで書いた通り、面談で聞かれることは限られています。余計な論点を自分から増やす必要はありません。

それと、許認可の申請でも影響が出ることがあります。たとえば人材派遣業は、風俗営業に関する目的が入っていると許可されません。無関係な目的を入れたことで、本業の許可が取れなくなる場合がある。

やっていない事業をどこまで入れるか

判断の基準は1つです。3年以内に手をつける可能性があるかどうか。

可能性があるなら入れます。あとから追加すると3万円と手間がかかるからです。可能性がないなら入れません。読む側を混乱させるだけです。

現在の事業

現在の事業に必要な許認可の文言

3年以内に取る可能性のある許認可の文言

附帯関連する一切の事業

この4層で組むと、だいたい5個から10個に収まります。20個は多すぎ、1個は少なすぎ、という感覚です。

現場系の場合、いま受注していない工事の種類を先に入れておくことが多い。一人親方から法人になると、請けられる仕事の幅がすぐ広がるからです。この考え方は一人親方の法人成りでも触れました。

決め方の順番

相談を受けたときは、この順で詰めています。

1 いま何で売上を立てるのかを1行で書く

2 その事業に許認可が要るかを確認する。要るなら窓口の指定文言を調べる

3 3年以内に広げる可能性のある事業を挙げる。ここでも許認可を確認する

4 融資を受けるなら、資金使途と目的が食い違っていないかを見る

5 全体を読み返して、何の会社か伝わるかを確認する

2番と3番は、自分で調べるより窓口に電話したほうが早い。文言が使えるかどうかは、最終的に審査する側が決めるからです。定款の認証を受けたあとで直すのは面倒なので、原案の段階で確認してください。設立までの流れは会社設立の流れと必要書類にまとめてあります。

造園業の方は、変更登記のときに産業廃棄物収集運搬業だけでなく、解体工事に関わる文言も一緒に入れました。3万円を2回払うのは避けたいという判断です。最初からそうしておけば、という話ではあります。

設立後の届出も忘れないでください。提出先ごとの整理は会社設立後の届出一覧にあります。資本金の決め方は資本金はいくらにすべきかをご覧ください。

高崎で会社設立をお考えの方へ

事業目的は、許認可と融資の両方に効いてきます。将来取る予定の許可まで見越して一緒に組み立てます。許可申請そのものは提携している行政書士が担当します。会社設立の手数料はいただいていません。

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