「融資って、日本政策金融公庫でいいんですよね」
創業の相談で、よく聞かれます。答えはだいたいイエスです。ただ、高崎で創業するなら、公庫に行く前に確認してほしい制度があります。高崎市の、保証料全額補助と5年間の利子補給です。
知っているかどうかで、数十万円単位の差がつきます。順番に書きます。
目次
創業融資の選択肢は3つ。高崎には「上乗せ」がある
創業時にまとまった資金を借りる方法は、実務ではほぼ3つに絞られます。
①日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」
②群馬県の制度融資「創業者・再チャレンジ支援資金」(信用保証協会の保証付きで、群馬銀行、東和銀行、しののめ信用金庫などの窓口から申し込み)
③民間金融機関独自の創業者向けローン
創業直後は決算書がなく、実績で借りることができません。だから現実的な入口は①か②です。そして高崎市で創業する方は、この上に市の補助を重ねられる可能性があります。それが本題ですが、まず土台の①と②を押さえます。
日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」
創業融資の王道です。対象は「新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方」。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)。返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が10年以内。据置期間(元金の返済を待ってもらえる期間)は最長5年です。無担保・無保証人でも申し込めます。
窓口は、高崎なら日本政策金融公庫の高崎支店。女性、35歳未満、55歳以上の方には金利の優遇があります。
2024年の改正で、別物のように使いやすくなった
「新創業融資制度」という名前を覚えている方は、知識の更新が必要です。あの制度は2024年3月で廃止され、今の制度に統合されました。ネットには古い解説記事が大量に残っています。変わった点は3つ。
①自己資金要件(創業資金総額の10分の1以上)の撤廃
②基準利率の引き下げ(原則0.65%)
③運転資金の返済期間が7年→10年に、据置期間が2年→最長5年に延長
特に③です。売上が立つ前の期間を、元金返済ゼロで設計できる。開業初年度の資金繰りにとって、これは本当に大きい。
「自己資金ゼロでも借りられる」は半分ホント
要件としては消えました。ただ、審査では今も見られます。公庫の調査では、創業者は創業資金の2割強を自己資金でまかなうのが平均像です。
そして金額と同じくらい見られるのが、貯め方です。毎月コツコツ貯めてきた通帳は「この人は準備してきた」という何よりの証拠になります。申込直前に親族から一括で振り込まれたお金は、履歴で分かります。見せ金は逆効果です。
このあたりは資本金の記事にも書きました。資本金と創業融資は、別々に決めるものではなく、セットで設計するものです。
群馬県「創業者・再チャレンジ支援資金」
県の制度融資です。信用保証協会の保証を付けて、地元の金融機関から借ります。融資限度額は最大4,500万円(うち運転資金2,500万円以内)、融資利率は年1.85%以内(令和8年4月1日時点)、返済期間は10年以内です。
公庫との違いは2つ。保証料が別にかかること。そして、地元の銀行・信用金庫と最初から付き合いができることです。資本金の記事の口座の話でも書きましたが、群馬で商売をする以上、融資も日々の入出金も、相手は地元金融機関です。制度融資はその入口になります。
私自身、保証協会付き融資を借りています。新規に保証協会との付き合いを始めるときは、銀行口座の開設と同じように、事業実態の確認があります。私のときは、提携する高崎商工会議所の方が事務所まで来所し、事業内容を確認していきました。書類を出して終わり、の世界ではありません。逆に言えば、この確認を通った実績は、その後の信用の土台になります。
弱点は保証料。ですがこれは、次の高崎市の補助で消えます。
本題。高崎市の「保証料全額補助+5年間の利子補給」
高崎市には、市内で創業する方向けに、信用保証協会に支払った保証料の全額を補助し、融資を受けた日から5年間の利子を全額補給する制度があります。対象になれば、5年間は実質金利ほぼゼロで創業資金を借りられるということです。ここまで手厚い自治体は、県内でも多くありません。
対象になる融資と要件
対象となる融資は、高崎市創業支援資金、群馬県の創業者・再チャレンジ支援資金のほか、政府系金融機関や民間金融機関の創業資金も含まれます。つまり、公庫で借りる場合も対象になり得ます。
主な要件は3つです。
①高崎市内で創業し、過去に事業歴がないこと
②市内に主たる事業所を置くこと
③市町村税を完納していること
ご自身のケースが対象になるかは、融資を申し込む前に高崎市の商工振興課に確認してください。「借りてから考える」では、次に書く期限の問題があります。
申請期限は「融資実行から1か月以内」
この制度で怖いのは、申請忘れです。融資を受けた日から1か月以内に交付認定申請書を提出する必要があり、これを逃すと補助は受けられません。着金にほっとして、開業準備に追われて、そのまま忘れる。あり得る話です。
融資実行日が決まったら、その場でカレンダーに申請期限を入れてください。認定後は、毎年7月と1月の年2回、交付申請をする流れになります。
どう選ぶか。私の考え
迷ったら、まず公庫です。スピード感も公庫です。制度融資は金融機関と保証協会の二段階の審査を通るぶん、どうしても時間がかかります。開業日から逆算して急ぐなら、公庫が先です。手続きが創業者向けに整っていて、無担保・無保証人で申し込め、据置を最長5年取れる。この柔軟さも制度融資にはありません。
ただし、計画書の負担は逆です。公庫は、創業計画書を自分で作る必要があります。一方、金融機関が窓口となる保証協会付き融資でも同じようなフォーマットの計画書が必要になりますが、こちらは担当者がヒアリングしながら作成を補助してくれることが多い。数字を作るのが苦手な方にとって、この差は意外と大きい。
そして、高崎市の利子補給の対象になるなら話が変わります。5年間の利子が全額補給されるなら、金利の比較はほぼ意味を失う。あとは借りやすさと金額とスピードで選べばいい。設備投資が大きく公庫の枠だけで足りなければ、公庫と制度融資の併用という組み立てもあります。
結論。高崎で創業するなら、「公庫か制度融資か」を決める前に、高崎市の補助対象になるかをまず確認する。この順番です。
私が創業融資の支援に力を入れているのには、理由があります。学生時代、資金繰りが原因で倒産していく会社を目の前で見ました。商品もお客様もあるのに、手元のお金が尽きただけで、会社は終わる。だから創業期の資金は、多めに、長く、静かに構えておくものだと考えています。詳しくは代表挨拶に書きました。
審査で効くのは、裏付け・支出済みの設備・経験
最後に、公庫でも制度融資でも共通して効く3つを書きます。
①数字の裏付け。売上予測の根拠は、注文書や契約書があればなおよしです。「開業したら月に○件くらい」という見込みと、「既にこの取引先から、この金額の発注が決まっている」という事実では、審査での重みがまるで違います。開業前から仕事の話を具体的に進めておくことは、資本金の記事で書いた口座開設の場面でも、融資の場面でも効いてきます。
②支出済みの設備投資。開業準備で既に自腹で払った内装費や機械代も、状況によっては借入金額に考慮してもらえることがあります。「もう払ってしまったから融資は関係ない」と諦める前に、見積書と領収書を揃えて相談してみてください。手元資金の回復は、開業後の資金繰りに直結します。
③そして何より、事業の経験です。この業種で会社員として何年やってきたか。ここが審査の土台になります。制度の知識や金利の比較より、経験の説明のほうがよほど効く。逆に未経験の分野で創業するなら、それを補う準備(修行先、資格、協力してくれる人)まで含めて、計画書で示す必要があります。
群馬・高崎で創業融資をお考えの方へ
創業計画書の数字に根拠をつける作業は、会計事務所の本業です。売上予測を「希望」ではなく「積み上げ」にする。それだけで、面談の空気は変わります。会社の形をまだ迷っている段階なら、株式会社と合同会社の記事からどうぞ。
当事務所では、会社設立から創業融資のサポート、その後の税務顧問まで、一つの窓口で対応しています。創業計画書の作成支援も承ります。
電話 027-386-2807(平日9:00〜18:00)
ミノラス会計事務所(群馬県高崎市江木町610-10 ミノラスビル3階)
公認会計士・税理士・行政書士 長島祐太
※制度の内容は2026年7月時点のものです。金利・要件は変更されることがあるため、最新情報は日本政策金融公庫・群馬県・高崎市の公式サイトでご確認ください。















