会社設立日はいつにすべきか|1日ずらすと均等割が5,900円変わる【群馬・高崎】

「設立日は大安がいいと言われたんですが、どうですかね」

高崎市内で軽貨物運送をされている方から、法人成りの相談を受けたときの話です。個人で2年、荷主から4月以降は法人でという話が出て動き始めました。

縁起を担ぎたい気持ちは分かります。ただ、設立日で変わるのは気分だけではありません。税金も社会保険料も、消費税を納め始める時期も動きます。

この記事では、設立日を決めるときに実際に効いてくる要素を書きます。1日ずらすだけで金額が変わる場面があるので、順番に見ていきます。

大安を選べるとは限らない

会社の設立日は、登記を申請した日になります。法務局が書類を受け取った日です。登記が完了した日ではありません。

ですから、法務局が開いている日でなければ設立できません。土曜、日曜、祝日、年末年始は選べない。大安が土曜なら、その日は諦めることになります。

高崎で申請する先は前橋地方法務局高崎支局です。オンライン申請を使う場合も受付は開庁時間内なので、夜に送信した分が翌開庁日扱いになると設立日が1日ずれます。日付にこだわるなら、そこも含めて確認してください。手続き全体の流れは会社設立の流れと必要書類にまとめました。

1日ずらすと、均等割が1か月分安くなる

法人住民税には均等割があります。赤字でも払う税金です。資本金1,000万円以下で従業員50人以下なら、群馬県と高崎市を合わせて年7万円が目安になります。

設立した事業年度については、これが月割になります。ここで効いてくるのが、1か月未満の端数は切り捨てるという扱いです。

3月末決算の会社で比べてみます。

4月1日設立 1期目は12か月 均等割7万円

4月2日設立 1期目は11か月と29日 端数を切り捨てて11か月 均等割6万4,100円

差は5,900円です。1日ずらすだけで生まれる差なので、知っていれば取れます。

計算は県と市でそれぞれ行います。県の2万円が11か月分で1万8,300円、市の5万円が11か月分で4万5,800円。100円未満は切り捨てるので、合計6万4,100円になります。

金額としては大きくありません。ただ、月の1日に設立するのが一番損だという構造は覚えておいて損はない。2日以降なら、その月の分は自動的に切り捨てられます。

社会保険は月単位。月末の設立は割高になる

法人になると社会保険は強制加入です。役員が自分ひとりでも入ります。

保険料は月単位で計算されます。日割りはありません。その月に加入していれば、1日から加入していても月末に加入しても、負担する保険料は同じです。

つまり月末に設立して、その月から役員報酬を出すと、数日分の在籍で1か月分の保険料を払うことになる。役員報酬を月50万円にするなら、会社負担と本人負担を合わせて月14万円ほどです。この額を数日のために払うのはもったいない。

加入の手続きそのものは、登記が完了して登記事項証明書が出てからでないとできません。年金事務所への届出は事実の発生から5日以内という期限ですが、実務上は証明書が出てから動くことになります。

対策は2つあります。月の前半に設立するか、役員報酬の支給開始を翌月からにするか。どちらでも構いませんが、後者の場合は1期目の役員報酬の総額が変わるので、そこも含めて決めてください。社会保険の負担そのものについては一人親方の法人成りに金額を書いています。

決算期との組み合わせで、消費税の免税期間が変わる

ここがいちばん金額の大きい論点です。

資本金1,000万円未満で設立した会社は、原則として1期目の消費税が免税になります。設立日と決算期の組み合わせで、この期間の長さが変わります。

4月1日に設立して3月末決算にすれば、1期目は12か月です。4月1日設立で12月末決算なら9か月しかありません。個人事業のときの感覚で12月決算にすると、3か月分を捨てることになります。

さらに2期目をどうするかという判断もあります。1期目が7か月以下なら、2期目の判定に使う特定期間そのものが生じないため、2期目も免税になります。1期目を短くして2期目まで取りにいくか、1期目を長く取るか。どちらが得かは売上の立ち上がり方で変わります。

ただし、設備投資が大きくて消費税の還付を受けたい場合は、あえて課税事業者を選ぶ判断もあります。インボイス登録をする場合も前提が変わる。ここは一律に決められないので、売上の見込みと投資の予定を出したうえで計算します。

設立日から3か月以内に役員報酬を決める

役員報酬を経費にするには、設立の日から3か月以内に金額を決めて、その後は毎月同じ額を支給する必要があります。

この3か月は設立日から数えます。設立日が動けば期限も動く。決算期の3か月ではないので、そこを混同しないでください。

金額を決めるには、1期目の売上見込みと社会保険料の負担、それに生活費が要ります。高く取れば会社の利益が減って社会保険料が増え、低く取れば会社に利益が残って法人税がかかる。どちらに寄せるかは、融資を受けるかどうかでも変わります。借入の返済原資は会社に残った利益だからです。

期限を過ぎてから決めた分や、途中で増額した差額は経費として認められません。法人税で否認され、しかも本人の給与としては課税される。両側から取られる形になります。

設立の相談を受けたとき、私はこの期限を最初にお伝えしています。登記が終わって気が緩む時期と重なるからです。設立後に出す届出も同じで、青色申告の承認申請書を落とすと1期目の赤字が繰り越せません。提出先ごとの整理は会社設立後の届出一覧にあります。

それでも設立日を選べないことがある

ここまで書いてきましたが、実務では設立日を自由に選べない場面のほうが多いと感じています。

元請や荷主から期日を切られている場合。許認可の承継を予定していて、認可の日程に合わせる必要がある場合。前職の退職日との関係で動かせない場合。いずれも、税金の数千円より優先されます。

建設業許可を個人から法人へ移す場合は、承継の認可を受ける日程が設立日を規定します。会社をいつ作るかという話が、許可をいつ移すかという話に引きずられる。詳しくは建設業許可と法人成り、どちらが先かに書きました。

冒頭の軽貨物運送の方には、均等割の話をして4月2日を提案しました。5,900円の差です。ただ荷主との契約開始が4月1日で、そこに合わせたいという希望がありました。結局4月1日で設立しています。

それでいいと思っています。5,900円のために契約の初日を空けるほうが、よほど損です。判断材料として知っておいて、優先順位をつけて捨てる。設立日に限らず、この種の話はだいたいそういう性質のものです。

大安については、4月1日がその年は仏滅でした。気にされていましたが、荷主のほうを取られました。資本金の決め方は資本金はいくらにすべきか、借入先の選び方は創業融資はどこで借りるべきかをご覧ください。

高崎で会社設立をお考えの方へ

設立日、決算期、資本金、役員報酬。この4つは互いにつながっています。取引先の期日や許認可の日程も含めて、一緒に組み立てます。会社設立の手数料はいただいていません。

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