創業融資の必要書類一覧|公庫高崎支店に持っていくもの【群馬・高崎】

「書類は揃えました。これで出せますよね」

高崎市内で整体院を開こうとしていた方が、クリアファイルを差し出しました。創業計画書、通帳のコピー、運転免許証のコピー、内装工事の見積書。たしかに一通り入っています。

ただ、見積書を開いて手が止まりました。「内装工事一式 380万円」。その一行だけです。

これは差し戻されます。設備資金380万円の根拠が、この紙からは何も読み取れないからです。業者に連絡して内訳を出してもらってください、と伝えました。

創業融資の必要書類でつまずく人は、書類を忘れているのではありません。「揃えたつもり」で中身が足りていない。あるいは、取得に何日かかるかを知らずに、申込の直前になって慌てる。この二つがほとんどです。

今回は、日本政策金融公庫の創業融資に必要な書類を、どこで取るか、何日かかるか、どこで落とされるかまで含めて整理します。高崎で申し込む場合の窓口も具体的に書きます。

1. 書類は3つの層に分かれている

必要書類の一覧を検索すると、10種類以上がずらりと並んでいて、全部いるのかと不安になります。実際には3つの層に分かれています。

・第1層:申込時に必ず出す書類

・第2層:面談で求められることがある書類

・第3層:求められないが、出すと審査が有利になる書類

まず第1層を確実に揃える。第2層は面談前に手元に置いておく。第3層は、自分の弱点を補える範囲で足す。この順番で考えると、やることがはっきりします。

なお制度名について補足します。かつての新創業融資制度は2024年3月末で廃止され、新規開業資金に統合されました。その後2025年3月に「新規開業・スタートアップ支援資金」へ名称が変わっています。ネット上には旧制度名の記事がまだ大量に残っているので、公庫の公式ページを見るときは名称を確認してください。

2. 全員が出す書類と、その入手先

第1層:申込時に必ず出すもの

借入申込書

公庫の公式サイトからダウンロードできます。インターネット申込ならフォーム入力に置き換わるので、紙は不要です。郵送や窓口で手続きする場合だけ用意します。

創業計画書

公庫のテンプレートがサイトにあります。ただし、テンプレートを使う義務はありません。A4一枚の様式に収まらない事業なら、別紙を付けたほうが伝わります。書き方は創業計画書の書き方|公庫の審査担当者が見ている5つのポイントにまとめました。

本人確認書類

運転免許証は両面。パスポートなら顔写真のページと現住所のページ。片面だけ送って出し直しになる人が毎回います。

預金通帳の写し

直近6か月から1年分。記帳が飛んでいる場合は、先に窓口かATMで記帳してからコピーします。「お取引明細」とまとめて印字されていると、中身が読めないので差し戻されます。ここで何を見られているかは自己資金はどう見られるか|見せ金が一発でバレる理由に書きました。

許認可証

飲食店、美容室、建設業、古物商など、許可や届出が必要な業種は必須です。まだ取得前なら、申請中であることが分かる書類でも受け付けてもらえる場合があります。高崎市は中核市なので保健所が市にあります。飲食店営業許可や美容所の届出は、県ではなく高崎市保健所が窓口です。ここを県庁だと思って前橋まで行ってしまう方がいます。

見積書

設備資金を申し込む場合。次の章で詳しく書きます。

第2層:面談で求められることがあるもの

・物件の賃貸借契約書、または不動産の登記事項証明書

・現在の住宅ローンや自動車ローン、カードローンの返済予定表

・公共料金や家賃の支払状況が分かるもの

・前職の源泉徴収票(個人で開業する場合)

・資金使途の内訳を示した資料

個人の借入の返済予定表は、隠さずに出したほうがいい書類です。公庫は信用情報を照会するので、申告していない借入は必ず出てきます。書いていない借入が後から出てくるのが、いちばんまずいパターンです。

3. 法人と個人事業主で違うところ

法人で申し込む場合

履歴事項全部証明書が必要です。設立登記が完了していないと取れません。ここを甘く見ると、申込が丸ごと止まります。

登記の申請から完了までは、混み具合にもよりますが1週間から10日程度かかります。前橋地方法務局高崎支局に申請して、完了予定日を確認してください。完了して初めて履歴事項全部証明書が取れます。証明書自体は、オンライン化されているので全国どこの法務局でも取得できます。

つまり、法人で申し込むなら「設立登記の申請日」から逆算しないといけません。融資を先に進めたいのに登記待ちで2週間止まる、というのはよくある話です。申込のタイミング全体の話は融資は会社設立の前と後、どちらで申し込むべきかに書きました。

すでに決算を迎えている法人なら、直近2期分の確定申告書と決算書、勘定科目内訳明細書も必要です。決算から6か月以上経っているときは、直近の試算表も求められます。

個人事業主で申し込む場合

履歴事項全部証明書は不要です。そのぶん身軽ですが、代わりに前職の源泉徴収票や、すでに事業をしているなら直近2期分の申告決算書を求められます。

源泉徴収票は、前職の経験を裏づける資料としても効きます。同じ業種で何年働いたかは審査で見られるポイントなので、退職時に受け取ったものは必ず取っておいてください。なくした場合は前職の会社に再発行を頼めます。

4. 見積書でつまずく人がいちばん多い

設備資金は、見積書の金額がそのまま融資額の根拠になります。だから公庫は見積書を細かく見ます。

「一式」は根拠にならない

冒頭の整体院の方が持ってきた「内装工事一式 380万円」。業者に頼み直してもらったら、電気工事、給排水、内装造作、空調、看板と項目が分かれて出てきました。合計額は変わりません。それでも、内訳があるかないかで説得力がまったく違います。

担当者の立場で考えると分かります。380万円が妥当かどうかを判断する材料が「一式」の一行では、何も判断できない。判断できないものは、通しようがありません。

宛名と日付を確認する

宛名が空欄、日付が半年前、そもそも社判がない。この3つは意外とよくあります。宛名は申込人の氏名か会社名。日付は直近のもの。業者の名称、住所、連絡先が入っていること。この3点は出す前に自分で確認してください。

中古やリースを混ぜるなら書き分ける

中古機材を個人売買で買う予定なら、見積書が出ません。この場合は、購入予定先とのやりとりの記録や、同等品の相場が分かる資料を添えます。リースにするものは、そもそも設備資金の対象外なので、資金使途から外して整理します。ここが混ざっていると、資金使途の説明が崩れます。

5. 取得の順番と、逆算スケジュール

書類には、すぐ手に入るものと、時間がかかるものがあります。時間がかかるものから着手するのが鉄則です。

日数がかかるもの(先に動く)

・設立登記の完了と履歴事項全部証明書:申請から1週間〜10日程度

・許認可の申請と交付:業種により数週間から1か月以上

・内装や設備の見積書:業者の現地調査を含めると1〜2週間

・物件の賃貸借契約:条件交渉次第

当日〜数日で手に入るもの(後でよい)

・住民票、印鑑登録証明書:高崎市役所の窓口、またはマイナンバーカードでコンビニ交付

・通帳の記帳とコピー:その日のうちに

・本人確認書類のコピー:その場で

私が伴走するときは、申込希望日から逆算して、だいたい1か月前には見積依頼と許認可の確認を始めてもらっています。逆に言えば、書類だけなら1か月あれば十分に間に合います。時間がかかるのは書類ではなく、創業計画書の数字を詰める作業のほうです。

それから、証明書類には有効期限の目安があります。発行から3か月以内が一般的です。早く動くのはいいのですが、印鑑登録証明書や登記事項証明書を先に取りすぎると、申込時点で古くなります。日数のかかるものから着手し、証明書の取得は申込直前に回す。この順序で考えてください。

6. 求められないが、出すと効く書類

第3層です。求められていないものを出すのは、やりすぎだと思われがちですが、そんなことはありません。担当者は決裁を通すために材料を欲しがっています。

・前職の職務経歴書:業種経験を具体的に示す

・資格証や修了証:技術系・士業系なら必須級

・取引予定先からの発注書や覚書:売上予測の裏づけになる

・店舗の図面や商圏の地図:立地の説明が一気に楽になる

・すでに支払った開業準備費用の領収書:自己資金として加算できる

・認定特定創業支援等事業の証明書:金利や登録免許税で優遇が受けられる

最後の認定特定創業支援等事業は、高崎市でも創業セミナー等を通じて証明が受けられます。金利面での優遇要件に該当するほか、株式会社設立時の登録免許税が軽減されます。開業までに時間があるなら、高崎市役所の商工振興課に確認する価値があります。

効くのは、売上予測を裏づける資料です。「月商250万円を見込んでいます」という数字に、すでに話が進んでいる取引先からの覚書が1枚付くだけで、面談での説明の重みが変わります。

7. 高崎支店に持っていくか、ネットで出すか

申込の方法は2つあります。開業予定地を管轄する支店の窓口か、インターネット申込か。高崎で開業するなら、管轄は日本政策金融公庫の高崎支店です。

インターネット申込は24時間受け付けていて、書類は電子データで添付します。スキャンかスマートフォンの撮影で構いませんが、通帳や見積書の文字が読めない画像は差し戻されます。撮ったら自分で拡大して確認してください。

窓口に持っていくメリットは、その場で不足を指摘してもらえることです。書類に自信がないなら、一度足を運んだほうが早い場合もあります。また、申込の前に創業サポートデスクで相談することもできます。予約制です。

どちらでも審査の中身は変わりません。書類の整合性で決まります。創業融資の面談対策|審査に落ちる人の共通点にも書きましたが、書類と口頭の説明が食い違った瞬間に、話が計画の中身から人物の話に移ります。

書類を揃える作業は、面倒ですが単純です。難しいのは、その書類が示す数字に一貫性を持たせることのほうです。見積書の金額、創業計画書の設備資金、通帳の残高、自己資金の額。この4つがきれいにつながっていれば、面談は短く終わります。

何をどこまで用意すればいいか判断がつかない段階で、一度ご相談ください。書類の準備から創業計画書の作成、面談の同席まで一緒に進めます。私がどういう考えで創業支援に関わっているかは、代表挨拶をご覧ください。

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公認会計士・税理士・行政書士 長島祐太