創業融資の面談対策|審査に落ちる人の共通点【群馬・高崎】

「来週、公庫の面談なんです。何を聞かれるんでしょうか」

先週も、この電話を受けました。創業計画書を出し終えて、面談の日程が決まった直後の方です。声のトーンで分かります。書類を出すところまでは走れたけれど、face to faceで話すとなると急に不安になる。ほとんどの方がここでつまずきます。

私はこれまで、公庫高崎支店での創業融資の面談に何度も同席してきました。担当者が何を確認しようとしているのか、どこで話が止まるのか、落ちた方は何が足りなかったのか。外から見ていると、通る人と落ちる人の差はかなりはっきりしています。そして、その差の大半は当日の話し方ではなく、面談の前に決まっています。

この記事では、実際の面談で聞かれること、審査に落ちる人に共通するパターン、そして前日までに何をそろえておけばいいのかを書きます。

面談は、落とすための場ではない

まず前提を一つ。公庫の創業融資の面談は、口頭試問ではありません。担当者は、提出された創業計画書の内容が本当かどうかを確認しに来ています。書類に書いてあることを、本人の口から矛盾なく説明できるか。それだけです。

だから、うまく話す必要はまったくありません。緊張して言葉に詰まっても落ちません。落ちるのは、書いたことと言っていることが食い違ったときです。

この順番を理解していない方が多い。面談の練習をする前に、自分が出した創業計画書をもう一度読み返すほうが、はるかに効きます。創業計画書の書き方|公庫の審査担当者が見ている5つのポイントでも書きましたが、計画書の完成度が面談の難易度をそのまま決めます。

面談時間はおおむね1時間前後。場所は公庫高崎支店の面談ブースで、担当者は1名です。服装は普段の仕事着で構いません。飲食店を開くなら、スーツより清潔な作業着のほうが伝わることもあります。

公庫高崎支店の面談で、実際に聞かれること

聞かれる内容は、支店や担当者が変わってもほとんど同じです。順番も大きくは変わりません。

自己資金は、どうやって貯めたのか

最初に確認されるのがここです。金額そのものより、貯まっていく過程を見られます。通帳を見せてほしいと言われることも多い。毎月の給与から少しずつ積み上がっている履歴があれば、それ以上の説明はほとんど不要です。

逆に、面談の1か月前に大きな入金が一度あるだけ、という通帳を出すと、ほぼ確実に「これは何のお金ですか」と聞かれます。親からの援助なら援助と言えばいい。それ自体は減点になりません。詳しくは自己資金なしで創業融資は受けられるかに書きました。

なぜこの事業なのか、経験は何年か

創業融資でいちばん重く見られているのは、事業経験です。同じ業種で何年働いたか。どの立場だったか。売上や仕入れに責任を持つ側にいたのか、指示を受ける側だったのか。

ここは経歴を盛らないほうがいい。店長経験があると書いて、面談で発注の仕組みを聞かれて答えられないと、その瞬間に計画書全体の信頼が落ちます。

売上の数字に、どんな根拠があるのか

「月商300万円」と書いたなら、その300万円をどう分解したのかを聞かれます。客単価×客数×営業日数なのか、単価×契約社数なのか。分解できていれば、数字が多少強気でも会話になります。

分解できていないと、そこで止まります。前職の実績、すでに口頭で受注の約束をもらっている取引先、近隣の同業の状況。何かしら外にある事実に紐づけてください。

借りたお金を、何にいくら使うのか

設備資金なら、見積書と金額が一致しているかを見られます。運転資金なら、何か月分をどういう計算で置いたのか。ここが曖昧だと、希望額から減額されて着地します。

生活費はいくらか、返済の原資は何か

意外と落とし穴になるのがここです。事業が軌道に乗るまでの数か月、家計をどうやって回すのか。配偶者に収入があるのか。住宅ローンや車のローンはいくら残っているのか。

事業計画が良くても、家計が持たない見通しだと貸せません。担当者は事業と家計を合わせて一つの返済能力として見ています。

審査に落ちる人の共通点

落ちた方の話を後から聞くと、原因はだいたい次のどれかに当てはまります。

自己資金の出どころを説明できない

最も多いパターンです。一時的に借りたお金を口座に入れて自己資金に見せる、いわゆる見せ金は、通帳の動きでほぼ確実に分かります。そして一度これを疑われると、その回だけでなく次の申込みにも尾を引きます。

計画書の数字と、口頭の説明が食い違う

誰かに書いてもらった計画書をそのまま出すと、これが起きます。自分で組み立てていない数字は、突っ込まれた瞬間に答えられません。私が計画書のお手伝いをするときも、数字の置き方は必ず本人と一緒に決めます。代わりに書いて終わりにすると、面談で崩れるからです。

経験のない業種に、いきなり参入している

未経験だから絶対に通らない、ということはありません。ただ、経験の薄さを埋める材料が要ります。修業に入った期間、共同創業者の経歴、すでに確保している取引先。何もないまま「やる気はあります」だけで臨むと厳しい。

運転資金を多めに取りすぎている

不安だから多めに借りておきたい。気持ちは分かります。ただ、根拠のない上乗せは資金使途の曖昧さとして映ります。高崎市の創業支援資金でも、運転資金はおおむね3か月分が限度という考え方が示されています。感覚ではなく、月々の固定費から逆算した数字を置いてください。

税金や公共料金を滞納している

住民税、国民健康保険、携帯電話の分割。ここが止まっていると、事業計画の中身に入る前で終わります。心当たりがあるなら、申込みの前に片づけてください。完済してから申し込むだけで結果が変わることは、実際にあります。

前日までにそろえておくもの

当日カバンに入れておくものは、だいたい決まっています。

・提出済みの創業計画書のコピー(自分の手元用)

・自己資金が貯まる過程が分かる預金通帳(記帳を済ませておく)

・設備の見積書、物件の賃貸借契約書または重要事項説明書

・許認可が必要な業種なら、申請書の写しや取得見込みが分かるもの

・住宅ローンや車のローンの返済予定表

・前職の源泉徴収票、資格証、実務経験が分かるもの

そのうえで、前日にやるべきことは一つだけです。自分の創業計画書を、他人が書いたつもりで読み返す。読んでいて「なぜこの数字なんだろう」と引っかかった箇所が、まさに面談で聞かれる箇所です。そこに答えを一つ用意しておけば、当日の準備は足ります。

私が同席した面談で起きたこと

ピラティスのスタジオを立ち上げる方の面談に、同席したことがあります。もともとは自宅の一室で、少人数のレッスンを小さく続けてきた方でした。生徒が増え、受け持てるコマ数が限界に近づいたところで、自宅をきちんとしたスタジオに作り替えて事業として本格的にやると決め、法人にする段階まで来ていました。

面談で時間を使ったのは、経験の部分でした。何年やってきたのか、どの資格を持っているのか、レッスンを何コマ持っていたのか、生徒は何人ついているのか。かなり細かく聞かれました。規模は小さくても、実際に人を集めて指導してきた期間は、担当者はきちんと実績として見ていました。ここは事前に数字で整理しておいて正解だったところです。

自宅がそのまま事業所になる形だったので、そこも説明が必要でした。生活する場所と営業する場所をどう分けるのか、生徒はどこから出入りするのか、駐車場は確保できるのか。自宅を拠点にする場合、この手の質問は必ず来ます。

もう一つ、当日にはっきり分かったことがあります。担当者は事業全般については広い知見を持っていましたが、ピラティスという分野そのものには詳しくありませんでした。ヨガとどう違うのか、マシンを使うレッスンとマットのレッスンで何が変わるのか、月謝制なのか都度払いなのか。そこから説明が必要でした。

そこで、サービスの中身と料金の仕組み、そして市内やその周辺にある競合のスタジオがどういう業態でいくらの価格帯なのかを、順を追って丁寧に説明しました。相手が業界を知らないという前提に立って話を組み直したわけです。結果的に、この説明が売上計画の数字の説明にそのままつながりました。単価も、生徒が何人集まればいくらになるのかも、業態の説明を先にしておいたから話が通った。

自分の業界では当たり前のことが、面談の相手にとっては前提から知らない話であることは珍しくありません。専門用語を使わずに、自分の事業を最初から説明できるか。準備すべきなのは話術ではなく、ここです。

制度融資の面談は、何が違うのか

高崎市や群馬県の制度融資を使う場合、面談の相手は公庫ではなく金融機関の担当者になります。群馬銀行、東和銀行、しののめ信用金庫。窓口によって進め方に差はありますが、聞かれることの中身は公庫とほぼ同じです。

違うのは、その後ろに群馬県信用保証協会の審査があることと、市の制度を使うなら市の認定や交付申請が絡んでくることです。窓口が増える分、時間もかかります。制度の違いは公庫と保証協会付き制度融資の違い|群馬での使い分けに整理しました。

もう一つ、公庫にはない工程があります。事業の実態確認です。保証協会付きの融資では、商工会や商工会議所の経営指導員、あるいは保証協会の担当者が、実際に事務所や店舗まで足を運んでヒアリングをすることがあります。金融機関の担当者も同じように現地を見に来ます。

見られているのは、書いてあるとおりの事業がそこで本当に行われるのか、行える状態なのか、という一点です。設備が入っているか、看板が出ているか、人が動いているか。自宅を本店にする場合や、まだ物件を契約していない段階で申し込む場合は、ここで必ず説明を求められます。書類の上だけ整えても、この工程で止まります。

逆に言えば、訪問は説明の機会でもあります。図面や商品、実際の作業の様子を見せられる状態にしておけば、面談室で言葉を尽くすより早く伝わります。日程が決まったら、当日そこで何を見せるかを先に考えておいてください。

なお、高崎市には融資実行後に保証料の補助と5年間の利子補給を受けられる制度があります。申請には期限があるので、面談の段階で頭に入れておいてください。窓口は高崎市商工振興課の金融担当(市庁舎13階、027-321-1258)です。

面談は、準備した人が通る

私は高崎商工会議所の創業塾を受講したことがあります。受講者として教室に座っていて感じたのは、創業前に人へ説明する機会を持てた人は、面談でも強いということでした。誰かに向かって自分の事業を言葉にした回数が、そのまま面談の答えの厚みになります。

面談が不安だという方には、私はいつも同じことを言います。うまく話そうとしなくていい。自分の計画書に書いた数字を、その業界を知らない人にも伝わる言葉で説明できるようにしておく。それだけで、落ちる理由のほとんどは消えます。

ミノラス会計事務所では、創業計画書の作成から面談の同席まで対応しています。事業のことをいちばん分かっているのは経営者本人なので、私の役割は、その内容を金融機関に伝わる形に翻訳することだと思っています。私がどんな考えで事務所をやっているかも、よければご覧ください。

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公認会計士・税理士・行政書士 長島祐太